【専門家執筆】最先端技術を活用して健康的に暮らすためのスマートウェルネス住宅とは
「スマートウェルネス住宅」とは、高齢者、障害者、子育て世帯等の多様な世代が交流し、安心して健康に暮らすことができる住環境を実現することを目的として、それらの世帯の居住の安定確保・健康維持増進にかかる先導的な住まいづくりの取組みを支援する事業です。主に国土交通省が推進していて、国土交通省の指定する要件を満たす事業については補助金を受けられる場合があります。
健康的に生きることと住宅性能とは密接な関係がある
近年の調査結果によると、交通事故で死亡した人は減少していますが、自宅で亡くなる人が増えています。その原因として、心筋梗塞、脳卒中などがあります。この心筋梗塞や脳卒中で死亡した時期を調査したところ、住宅内で亡くなった人が同じ地域でも暖かいに比べて冬の時期は2倍にも増えていたという結果もあります。
そのため、冬の時期に住宅内を暖かくしておくことが有効な対策だと言われています。また室内を暖かくすることで、死亡数だけでなく、疾病になる頻度を減らすことができると言われています。疾病にかかる頻度が減ることで、医療費の負担を減らせる効果もあります。また、朝の室温が低いと血圧が上がるというデータがあり、これに対して、朝に寒いと感じない程度の室温の場合は正常の血圧であったとのデータもあります。
参考:国土交通省 スマートウェルネス住宅等推進事業について
https://swhsurvey.jsbc.or.jp/project
参考:スマートウェルネス住宅等推進調査事業の概要の説明・調査委員会
https://www.youtube.com/watch?v=cMc5zVuXmYM&feature=youtu.be
断熱改修・リフォームには、大きな効果が見られている
断熱改修・リフォーム事例として、シングル窓ガラスをペア窓ガラスに変えること、建物の断熱材を2倍程度増量するなどの対策があります。
また、国土交通省の断熱改修等による居住者の健康への影響の中間報告では、下記のような知見が見られ始めているとのことです。
1.冬季において起床時室温が低いほど、血圧が高くなる傾向がみられた。
2.高齢者ほど、室温と血圧との関連が強いことが認められた。
3.断熱改修によって室温が上昇し、それに伴い居住者の血圧も低下する傾向が確認された。
4.居間または脱衣所の室温が18℃未満の住宅では、入浴事故リスクが高いとされる熱め入浴の確率が有意に高い。
上記のように断熱改修・リフォーム後の暖かい住まいでは、省エネ効果と疾病予防などの効用が見られています。
参考:国土交通省 断熱改修等による居住者の健康への影響調査概要
http://www.mlit.go.jp/common/001218766.pdf
高断熱のサッシや壁で外気の影響を受けにくくするという断熱改修
をすることで、室内の結露の発生を減らすことができ、カビ・ダニの発生を抑制することができます。つまり、断熱性の良い住宅に住み替えることで、アレルギー性鼻炎、結膜炎、高血圧性疾患、アトピー性皮膚炎、気管支喘息などの発生頻度が大幅に下がるという効果が期待できることが解り始めています。
まとめ
スマートウェルネス住宅とは、高齢者、障害者、子育て世帯等が、健康に暮らすことができる住環境をつくる取組みを支援する事業のことです。住居と健康とは深い関係性があり、冬の時期でも室内を暖かくしておくことで、住宅内での死亡事例や疾病にかかるのを減らすことができる効果が期待できると解ってきました。さらに断熱改修・リフォーム後の暖かい住まいでは、省エネ効果も得られます。最先端の建築技術を活用した断熱改修・リフォームが注目されています。皆さんがより健康的に暮らせるように、スマートウェルネス住宅について、勉強をしておくことが有効となります。
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