【専門家執筆】40代から始める資産運用方法とは
前回、老後資金づくりをするなら、確定拠出年金を利用して資金を積み立てていくことがお勧めだと述べましたが、今回は、60歳まで引き出せないのは困るとか、確定拠出年金での所得控除等のメリットが少ないとか、確定拠出年金では投資できない金融商品に投資したい等の理由で、確定拠出年金を利用せずに積立で資産運用を行う場合の投資対象となる金融商品とその手法についてご紹介します。
「株式るいとう」で株式の積立投資
株式るいとう(株式累積投資)とは、個別の株式を積立で購入する方法です。積立金額は、証券会社が定める範囲内で自由に設定することができます。普通に株式を購入する場合は金額単位ではなく株数単位となりますが、株式るいとうの場合は毎月同じ銘柄を決まった金額単位での積立投資が可能で、ドルコスト平均法(定額投資法)を活かした投資ができます。ドルコスト平均法とは、価格変動がある金融商品に毎月一定金額を投資し、価格が高いときは少しの口数(株数)を買い付け、価格が安いときは多くの口数(株数)を買い付ける手法です。結果的に一口あたりの購入単価を平準化できることになります。
ただし、株式るいとうはすべての証券会社で取り扱っているわけではなく、すべての上場銘柄が株式るいとうで投資できるわけではありません。また、配当金は保有株数に応じてもらえますが、株主優待は普通の株式売買の単位である単元株数に達していなければもらえません。
なお、確定拠出年金では、ほぼすべての運営管理機関が個別の株式を運用商品として取り扱っていませんので、個別の株式に積立投資することはできません。
リスク分散ができる投資信託で積立
投資信託での積立は、毎月一定額で投資信託を積立で購入するドルコスト平均法を活かした投資方法です。一つの個別銘柄に積立投資する株式るいとうとは異なり、投資信託の投資対象は世界中の株式、債券、不動産、貴金属等など幅広いです。日本の株式だけに投資するのではなく、他の国々や株式以外のものにも投資しておけば、リスク分散を図ることができます。また、毎月1,000円程度から投資することができる金融機関もありますので、仮に毎月1万円投資できるのであれば、複数の投資信託を組み合わせて投資を行いよりリスク分散を図ることもできます。
なお、確定拠出年金では、運営管理機関が運用商品として取り扱っている投資信託にしか投資することはできませんが、普通に投資信託を積立で購入する場合は、その金融機関が積立で取り扱っているすべての投資信託に投資することができます。
また、一定の株式投資信託が2018年開始の積立NISAの対象となる予定です。
株価指数に連動する上場投資信託(ETF)
日経平均株価やTOPIX等の金融指標の値動きに連動するように運用されている投資信託(インデックスファンド)の中には、上場投資信託(ETF)という個別の株式のように証券取引所に上場されて売買されているものがあります。ETFには日本の株価指数だけではなく世界中のさまざまな金融指標に連動するものがあります。
現状では、多くの証券会社ではETFは金額単位ではなく口数単位での売買のみとなりますので、毎月定額での積立投資の対象とはなりませんが、2018年開始の積立NISAに一定のETFが対象となる予定です。
なお、確定拠出年金では、ほとんどの運営管理機関はETFを運用商品として取り扱っていません。
こんな金融商品には気をつけて!長期スタンスで投資を始める
まず、毎月分配型投資信託のような収益の分配の頻度が多い金融商品は、投資効率が低くなってしまいます。当面の分配金等の現金を必要とせずに中長期での資産形成を考えているのであれば、収益の分配の頻度が少ない金融商品の方が向いています。
次に、仕組みが複雑な金融商品やいろいろな金融商品がパッケージになっているような金融商品は、シンプルな金融商品に比べて手数料が高く設定されていることがほとんどです。もし、それらの金融商品がうたっているメリットを得たいのであれば、シンプルな金融商品を自分で組み合わせて購入することにより同様のメリットをよりコストを安くして得ることが可能となります。
まとめ
40代は人生の中で最も出費がかさむ時期といわれています。住宅ローンの返済や教育費の増加に加え、老後資金の準備を始める時期にもなるからです。ただ、老後資金であれば40代なら20年もあります。老後資金のように長期で結果を出せばよいものであれば、今からでも遅いということは全くありません。たとえ毎回の積立金額が少額であったとしても、ドルコスト平均法を活かした積立投資を始めてみてはいかがでしょうか。
[執筆専門家]