【専門家執筆】不動産業界の2019年問題とは?

2017年9月27日

日本の世帯数が減少すると予測されている「2019年問題」
この問題が住宅を購入する場合に何らかの影響はあるのでしょうか?
皆さんからよく質問される「住宅の買い時はいつか?」という疑問にも応えてみたいと思います。

不動産の2019年問題とは

国立社会保障・人口問題研究所が2013年に発表した推計によれば、日本の世帯総数は2019年に5307万世帯となってピークを迎え、16年後の2035年には4956万世帯にまで減少すると推計されています。
このような予測から、2019年で日本の世帯数がピークアウトし減少することで、それ以降の住宅市場は減少し、価格も下落するのでは?という大きな問題が懸念されています。
こうした背景を不動産業界では「2019年問題」と呼んでいます。

どんな事が予測されるの?

皆さんもすでにご承知の通り日本の総人口は減少を始めていますが、今までは世帯総数が微増ながら増加していたため、住宅市場の縮小は抑えられてきました。
しかしながら、今後の人口減少を踏まえた世帯減少に対して、現状のように住宅供給が続くと当然ながら家余りの時代になり、住宅価格も必然的に下落につながる可能性が高くなります。

ただ、すべての不動産価格が下落するとは限りません。
過疎化や空洞化などによるエリアの価格は下落傾向になりがちですが、やはり人気のある街や住みたい街にランクインするエリア、あるいは駅近の物件では、いきなり価格下落とはなりにくいものです。

不動産価格を見る上ではそのエリアに有効需要があれば当然、売り買いや貸し借りが発生します。
しかしながら、需要が希薄であればその価格は下落に転じ、最悪のシナリオは売れない、貸せないという状況になります。
こうした点は今後、住宅を購入したり、借りたりする場合に考慮しておく必要があるでしょう。

価格が下がるまで待つべき?それとも購入すべき?

では、こうした問題点を踏まえて、「住宅はいつ買うべきか?」という購入を中心に考えてみましょう。
先ほどの流れからすれば、「2019年以降であれば住宅価格は下がるから、それ以降に買った方が損はしない」という見方ができます。
確かに、だれもが損をしない買い物をしたいものですが、不動産、ことさら住宅を買うという行為に損得勘定を盛り込んでしまうと本当に正しい選択ができない場合があります。
例えば、山の手のタワーマンション高層階を買えば損はしないと言われますが、実際に住むとなった場合、皆さんの生活実態とは合わないケースもあります。
「洗濯物は外に干せない」とか「やはり高いところは生理的にイヤだ」というような点です。
あるいは、都心の一戸建てでは「虫が多くいそうだからダメ」とか「植木の手入れなんかイヤ」だからマンションがいいという場合も想定できます。
つまり、居住用である住宅では「そこに住んで満足できるか」という住まい手の満足感が重要なウエイトを占めます。
この点を踏まえて、「価格が下がるまで待つべき?それとも購入すべき?」という購入時期を中心に考えてしまうと、実は満足度の高い住宅を買い逃す可能性があります。

自分が欲しいと思うものはだれもが欲しいと考えるべきです。
したがって、欲しいと思える住宅に出会えるか、しかも妥当な価格で購入できる物件かを判断基準として、住宅購入を考えるでしょう。

住宅価格自体は2019年になれば大暴落をするということでもありませんので、今からじっくりと探すことが重要かもしれません。

不動産価格を保てる住宅の特徴とは?

そうは言っても、出来れば価格が将来的も下がらない、あるいは現状維持できるような住宅を買いたいものです。
そうした住宅を買うためには何を目安にしていけばいいのでしょうか?
ここでは、そういった不動産価格を保てる住宅の特徴のいくつかに触れてみたいと思います。

・バリアフリー住宅
日本では超高齢化社会に突入しているため、住宅に求められるものの1つはバリアフリーの住宅です。
室内に段差がない、手摺が各所に付いているというような基本的な設備から、将来の車いす対応まで可能な住宅を選ぶことで将来の売却などでは差別化できる要因なります。

・都心や駅前の人気エリア
都心のエリアでは価格下落は郊外に比べると可能性が少ないものです。
しかも、駅からは徒歩圏でというような場所選びは重要なポイントです。
都心でもバス便でないと駅に行けない場所は、価格下落エリアの対象なりますので要注意です。
また、駅直結のマンションやデッキなどで駅に行ける物件は他の物件と差別化の対象にはなりますので、価格は下がりにくい傾向にあります。

・病院や公共施設に近い
バリアフリー住宅同様、高齢化社会においては病院や老人施設、あるいは役所や金融機関、スーパーなどの公共施設が徒歩圏内にあるいと利便性が高いという評価を得ます。

まとめ

「2019年問題」があるがために、住宅購入をためらうとか遅らせるということはありません。
先ほども触れましたが「価格が下がるまで待つべき?それとも購入すべき?」というような購入時期を中心に考えてしまうと、実は満足度の高い住宅を買い逃す可能性があります。
したがって、将来、住宅を購入しようと思うのであれば、欲しいと思える物件や住まいに出会えるか、しかも妥当な価格で購入できるかを判断基準とした住まいさがしをすべきでしょう。
「2019年問題」という言葉に惑わされずに、慎重な物件選びをすることで満足のいくマイホームを手に入れたいものです。

【著者プロフィール】

寺岡 孝

寺岡 孝(不動産コンサルタント)
大手ハウスメーカーに20数年勤務した後、2006年にアネシスプランニング株式会社を設立。
住宅の建築や不動産購入などのあらゆる場面において、お客様を主体とする中立的なアドバイスおよびサポートを行っている。
生涯に一度とも言われる住宅建築や不動産購入において、「納得」や「安心」を実感できるようにしていただくためには、
「中立的な立場の専門家によるアドバイスが必要」と考え、関東近郊を中心に住宅建築や不動産購入など、住まいにまつわること全般のコンサルティングを行う。

 


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