【専門家執筆】太陽光発電事業者必見! 改正FIT法の基礎知識と注意点

2017年6月22日

2017年4月に改正再生可能エネルギー特別措置法(改正FIT法)が施行されました。改正された背景や影響、注意点について解説していきます。
 
 
 
 

改正再生可能エネルギー特別措置法(改正FIT法)とは?

この法律は別名にある通りFeed-in Tariff =FITという略称からもわかる通り、電気事業者による再生可能エネルギー電気の固定価格買い取り制度を指し、エネルギーの買い取り価格(タリフ)を法律で定める方式の助成制度です。
もともとは、平成24年7月に「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法」という法律のもとに再生可能エネルギー電気固定価格買い取り制度が開始されました。
ここでいう再生可能エネルギーとは、太陽光発電や風力発電、バイオマス発電などで発電した電気をいい、その電気を一定の価格で買い取り、買い取り価格を政府が保証するという内容です。
この法が施行された以降、制度の対象となる再生可能エネルギーの導入量は倍増したと言われています。
しかしながら、買い取り価格が高いために国民負担の増大が懸念されはじめ、未稼働案件の増加、地域とのトラブルが増加するなどの問題が多くなったため、新しい認定制度を設け、設備認定から事業計画認定とすることしました。
これは、事業の適切性や実施可能性をチェックし、責任ある発電事業者として再生可能エネルギーの長期安定発電を促していく趣旨で、中長期の価格目標や入札制度を設けることによって、将来の再生可能エネルギーの自立化に向けた仕組みも構築しています。
つまり、再生可能エネルギーの最大限導入と国民負担の抑制の両立を図るために固定価格買い取り制度の見直しを行うというのが改正FIT法の趣旨になります。

チェックしておくべき変更点

改正FIT法には変更点が大きく分けて二つあります。
一つは、平成28年度(平成29年3月31日)までにFITの認定を受けている方(運転を開始している方も含む)は、新制度へ移行するため事業計画を提出する必要がありました。
もう一つは、平成29年度以降に新しく認定を受けたい方は新規認定申請(変更認定を含む)をしなくてはいけません。
いずれにしても、過去認定を受けていた方も、新しく認定を受けた方も、同様に改正FIT法の新しい認定基準に基づき認定されることになり、新しい基準に従うことになります。
また、今回の改正FIT法施行後、制度の認定を受けているが発電を開始しない事業者に対しては固定価格買い取り制度が変更されており、具体的には、2017年3月31日までに固定価格買い取り制度の認定を受けていても電力会社との接続契約が締結出来ていない場合には、原則、認定が失効するようになっています。

改正された背景

固定価格買い取り制度の中でも、特に太陽光発電事業に関しては買い取り価格が高く設定されたこともあって多くの事業者が参入しました。
これが投機目的に利用されてしまい、高い買い取り枠を確保した後、この買い取り枠を転売する為に事業を開始しない事業者や事業の認定を受けてもほかの業者に転売する為など、発電計画を実際には実行に移さない事業者が散見されました。
そのため、本来の法の趣旨とはかけ離れてしまい、土地を持ちや太陽光パネルを設置できる者のみが儲けるという構造になり、高い再生可能エネルギー電力買い取り価格のために、国民に電気代を負担させてしまう結果となりました。
併せて、過去に九州電力等で接続保留問題も発生したため、法改正の必要性が高まりました。
こうした背景から、政府としては投機目的等を排除する意味合いもあって、適切に固定買い取り制度を運用し、引き続き再生可能エネルギーの導入のために今回の改正FIT法施行となったわけです。

改正による影響

特に、太陽光発電の事業運営に対し大きな影響があると言えるでしょう。
これまでの「設備認定」が「事業認定」へと変更になったため、既に発電を開始している発電所であっても事業計画を提出し、新しいルールに基づいて再度認定を受ける必要があり、その中で運用保守も義務付けられるなど、発電所を適切に維持管理し、安定的に運用することがこれまで以上に重要となっています。

まとめ

今回の改正再生可能エネルギー特別措置法(改正FIT法)における固定買い取り価格制度の見直しの目的は経産省のHPにもある通り、エネルギーミックスにおける2030年度の再生可能エネルギーの導入水準22~24%の達成のため、固定買い取り価格制度等の見直しが必要といっております。
再生可能エネルギーでは太陽光発電に偏らず、バランスのとれた再生可能エネルギー導入を促進し、国民負担を抑制しながら効率的な電力の取引・流通の実現のための法改正といえるでしょう。

<参考資料>
固定価格買取制度(FIT)見直しのポイント(経産省HPより)
http://www.meti.go.jp/press/2015/02/20160209002/20160209002-2.pdf

【著者プロフィール】

孝岡 孝様

寺岡 孝(不動産コンサルタント)
大手ハウスメーカーに20数年勤務した後、2006年にアネシスプランニング株式会社を設立。
住宅の建築や不動産購入などのあらゆる場面において、お客様を主体とする中立的なアドバイスおよびサポートを行っている。
生涯に一度とも言われる住宅建築や不動産購入において、「納得」や「安心」を実感できるようにしていただくためには、「中立的な立場の専門家によるアドバイスが必要」と考え、関東近郊を中心に住宅建築や不動産購入など、住まいにまつわること全般のコンサルティングを行う。

 


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