【専門家監修】マンション転売で利益を出す買い方と売り方のコツとは
資産運用のひとつとして「マンション転売」があります。マンションを安く買い、高く売るのがマンション転売の基本です。ただ、「それほど簡単に儲けられるものなのか」と疑っている人も多いでしょう。マンション転売で利益を得るためには、工夫と注意が必要です。この記事では、マンション転売に成功するためのコツを解説していきます。
マンション転売で利益を出すのは難しい?
実際にマンション転売で儲けを出すのは決して簡単とはいえません。なぜなら、マンションとは築年数によって価値を下げていく物件だからです。そのため、購入時よりもマンションの価値が上がることは非常に珍しくなります。それでも、不動産価格が高騰していたバブル時代であれば、転売に成功する可能性が広がっていました。しかし、バブル崩壊後の不動産事情では転売の難易度が上がっています。しかも、宅地建物取引業の免許なしに転売を何度も行うと、宅地建物取引業法12条「無免許事業等の禁止」に抵触する恐れも出てきます。
また、マンションを所有している間の固定資産税、管理や維持の費用、売却にかかる所得税や住民税などを計算しなくてはなりません。そのうえで、転売を黒字にすることが求められるのです。
買い方のコツ1:好立地のマンション
転売を目的としてマンションを購入する際には、「立地条件」は意識しましょう。好立地のマンションであれば、築年数が経過してもある程度は売却価格が保たれます。たとえば、駅や商業施設の周辺、治安のいい地域など、環境の整っているエリアが狙い目です。また、オリンピックや万博といった大規模な国際的イベントの開催予定地も価値が高騰します。開発計画の対象になっているエリアにも注目しましょう。これらの地域に立っているマンションは、中古でも価格が上がる可能性は高いといえます。ただし、マンションの価格がどう変動するかは、リサーチが行き届いていないと予測できません。転売では情報収集能力や買い手のニーズを読み取るセンスが重要です。
買い方のコツ2:管理状態が良いマンション
「マンションの管理状態」も大事なポイントです。ゴミ捨て場や植栽などが荒れているマンションは、周辺の治安に悪影響を及ぼします。さらに、もともとの状態が悪いと建物の損傷もますます放置されかねません。その結果、マンションの価格はどんどん下がる一方です。買い手がついても高額での取引は難しくなるでしょう。そうならないよう、自主管理マンションを購入するのは避けるのが無難です。管理を住人の意識にゆだねるマンションでは、状態を維持するのが困難だからです。管理費が安いマンションも、清掃や修繕にコストをかけられません。年月とともに劣化が進む傾向にあります。
一方で、管理費が高すぎると所有コストが大変になります。それに、売却価格が安くなる可能性もあるため要注意です。なお、立地やデザイン性に優れたマンションは「ヴィンテージマンション」として、築年数とともに価格が上がることもあります。特に、デザイナーズマンションを買うときは特別な価値が付加されないか気に留めておきましょう。
買い方のコツ3:好条件の中古マンション
通常、中古マンションは新築よりも大きく価値が下がってしまいます。そのため、中古でも価値が下がりにくいヴィンテージ物件は転売市場で人気です。ヴィンテージマンションは買い手のニーズを押さえることで高額売却も可能です。ヴィンテージマンションに分類される物件は、築20年以上経っていても価格が保たれます。将来的な資産価値を見込めるので、需要が少なくありません。ただし、ヴィンテージマンションは、インターネットで転売物件を探すのは困難です。転売のライバルが多くて、すぐに買い手がついてしまうからです。ネットで公開される前に情報を確認できるよう、幅広い人脈を築きましょう。
売り方のコツ1:5年間物件を所有して売る
マンション転売では「5年間物件を所有する」ことを意識しましょう。個人がマンションを売却する際には「譲渡所得」に該当します。そして、譲渡した年の1月1日に所有期間が5年以下だと「短期譲渡所得」になってしまいます。短期譲渡所得では所得税が30.63%、住民税9%で合計39.63%と、決して安くない税率が設けられるのです。一方、所有期間が5年超だと「長期譲渡所得」になります。この場合、所得税は15.315%、住民税は5%で合計20.315%です。短期譲渡所得と比べ、税率は約半分になる計算です。たとえば、5年超でも売却価格が同じマンションであれば、譲渡所得が1000万円として、税金だけで約200万円の違いが出てきます。
売り方のコツ2:築10年以内で売却する
マンション転売では「築10年以内」を目安に売却しましょう。もちろん、社会情勢やトレンドにも左右されるので、10年は絶対的な数字ではありません。ただし、一般的にはマンションの築年数が増えると価格は下がっていきます。10年を超えるとリノベーションの必要も出てくるので、転売では不利になるのです。すでにリノベーションが行われた物件なら、事情を説明すれば買い手から人気になる可能性も出てきます。さらに、ブランドマンションやタワーマンションも築年数に関係なく注目度が高い物件です。共用施設や立地条件の魅力次第でも、築年数の影響は少なくなるでしょう。このように、マンション転売では築年数による価格の下落が少ない物件を探すことが大事です。
売り方のコツ3:売却計画と準備期間が重要
転売の前には「計画に基づいた準備」を進めておきましょう。そもそも、転売ではマンションを売りに出してから成約までに、3~4カ月はかかります。マンションの価格は3月ごろに高騰するので、前年の11~12月に売り出すのが理想です。ただ、いきなりマンションを売りに出せるわけではありません。準備期間として1~3カ月を想定しておきましょう。ちなみに、売却後、引き渡しにも1~3カ月はかかります。しかし、マンション転売のすべてが計画通りに進むわけではありません。もしも想定した時期に売れなかった場合のプランなど、売却計画は緻密に作るのがコツです。
売り手にとっての悩みどころとして、「時間をかければ高額で売却できるケース」が挙げられます。「それなら時間をかけよう」と決断する人は多いでしょう。売却計画をしっかり練っておいたなら、焦ることなく条件のいい買い手に巡り合える可能性は高くなります。
マンション転売のコツを知って利益を出そう
確実にマンション転売で儲けるにはコツが必要です。買取も売却も慎重に進めていかなくてはなりません。立地条件や管理状態などを見極め、年月が経っても価値が下がりにくい物件を見つけましょう。そして、5年間所有してから売るようにします。絶好のタイミングでマンションを転売するには、余裕のある計画を立てることも大切です。
執筆者プロフィール
- 髙野 友樹
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公認 不動産コンサルティングマスター・宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士
株式会社 髙野不動産コンサルティング 代表取締役、株式会社 アーキバンク 取締役。
不動産会社にて600件以上の仲介、6,000戸の収益物件管理を経験した後、不動産ファンドのAM事業部マネージャーとして従事。
現在は不動産コンサルティング会社を立ち上げ、投資家や事業法人に対して不動産コンサルティングを行いながら、建築・不動産の専門家で形成される株式会社アーキバンクの取締役として、業界において革新的なサービスを開発・提供している。