【専門家監修】不動産賃貸業とは?概要とメリットを解説

2021年4月28日

資産運用のためなどで、不動産賃貸業を始めたいと考えている人もいるのではないでしょうか。不動産賃貸業にはデメリットもありますが、メリットも多い仕事です。デメリットに関しても、対策を行うことで回避することができます。この記事では「不動産賃貸業とはどういうものなのか」「どのようなメリットがあるのか」について紹介します。

不動産賃貸業とは?

「不動産賃貸業」とは、「所有している物件を貸し出し、賃料を得ること」です。一般的に、不動産とは更地を含め、駐車場や畑、資材置き場など土地の場合もあり、アパートや賃貸マンション・賃貸オフィスなど建物の場合もあります。単発で賃貸収入を得ることは不動産賃貸業とはいわず、あくまでも継続的に賃料を得ている状態を指します。不動産賃貸業をはじめる際、特に資格や免許の取得は必要ありません。自分で管理はせず、管理会社などに任せることができるからです。ただ、不動産賃貸業について自分でも理解を深めたいと考えるならば、「日商簿記検定」「ファイナンシャルプランナー」「賃貸不動産経営管理士」などを必要に応じて取得するのも良いでしょう。

・日商簿記検定
法人として不動産賃貸業をはじめる場合、この資格があれば、貸借対照表や損益計算書といった決算書を自分で作成できます。また、税理士を雇う費用の節約や経営状態などを理解できるようになることなどもメリットです。

・ファイナンシャルプランナー
FPとも呼ばれており、金融や税金関係のほか、不動産、住宅ローンなど幅広い面で知識が深まります。取得後は経営面で役立たせたり、賃借人のサポートをしたりなど有効な資格です。

・賃貸不動産経営管理士
賃貸マンション・アパートのエキスパートといえる資格で、特にマンションの賃貸を行う場合に役立ちます。

個人事業主と法人の違い

不動産賃貸業をはじめる際に、まず決めなければならないのが「個人事業主としてはじめるのか、法人としてはじめるのか」という点です。この違いのひとつは、不動産賃貸で得た収入にかかる税金が変わってくることです。

・個人事業主
所得税と住民税がかかります。課税所得により税率は変動し、所得税の税率は最大で45%になります。

・法人
住民税と法人税、事業税がかかります。こちらの合算税率は、約25.5パーセントからになります。内訳は、法人税の最小税率が15%、法人住民税の最小税率が7%(東京23区内の場合)、法人事業税の最小税率が3.5%(東京23区内の普通法人の場合)です。

収入がおおよそ900万円を越える場合は、法人のほうが有利であるといえます。さらに、法人のほうが経費として落とせる範囲も広いです。たとえば、生命保険も「契約者と死亡保険受取人は法人、被保険者は社長」という形にすることで、生命保険料は経費として落とせるようになります。個人事業主の場合はすべて個人としての契約なので、経費にすることができません。法人は個人事業主より融資を受けやすいメリットもあります。

メリット:生命保険の代わりになる

不動産賃貸業を融資ではじめる場合、「団体信用生命保険」への加入が必要になるケースがあります。この保険は契約者に万が一のことがあったとき、残っているローンを保険金で支払うことができるものです。契約者が亡くなったり、賃貸業を継続することが難しくなったりしても、物件や土地など不動産が家族のもとに残ります。生命保険のなかには契約者に万が一のことがあったときに家族の生活をサポートするものもありますが、不動産賃貸業はそれに近いものといえるでしょう。

一般的に、それまで家族を支えていた大黒柱に何かあれば収入が激減する可能性もあり、生活面で苦労するケースも少なくありません。小さな子どもがいる場合には、働こうとしても難しい状況になる場合も有り得ます。しかし、家賃収入があれば、生活を立て直すまでの支えにすることが可能です。不動産の管理も管理会社に依頼していれば家族がしなければならないことも少なく、安心して生活できます。

メリット:景気変動に左右されにくい

景気の変動が影響しやすい金融商品と比較すると、不動産賃貸業は影響を受けにくい点がメリットです。不動産自体の価値が変動する可能性はありますが、それでも金融商品とは違い、完全に価値がなくなることはありません。価値が下がることがあったとしても、急に半減するなどの危険性も少ないのが魅力です。購入する物件や土地を選ぶ際にもしっかりと情報収集し、気になる物件のなかから厳選することで価値が変動しにくい地域や物件を見つけやすくなります。

しかも、家賃は物件の稼働率と連動するものであり、住む人がいる限り、収入がなくなることもないのです。また、もし、1人も賃借人がいなくなったとしても、「知人に安く貸す」「自分や家族が住む」など、さまざまな対策を模索することができます。たとえば、景気が回復するまでは自分達で住みながら管理を行い、回復後には再び家賃収入を得るといった方法も可能です。

メリット:少額から始められる

不動産賃貸業をはじめるには、まず物件や土地を入手する必要があります。そのため、「初期費用として莫大な金額が必要になるのではないか」と不安に感じる人もいるかもしれません。しかし、物件の購入は金融機関から融資を受けることが可能なので、少額の資金ではじめることができるのです。購入予定の物件を担保にできれば融資を受けることが可能となり、返済は毎月の家賃収入から行います。融資の活用によって、自己資産に負担をかけることも避けられます。

少額の資金ではじめた不動産賃貸業で安定した利益を得ることができるようになったら2軒目の物件を購入し、さらに収入増加を望むこともできるでしょう。行動を起こすのが早いほど資産を増やすことが期待できるため、若い世代がはじめる資産運用のひとつとしても有効です。経験や知識を増やし、不動産賃貸業で成功を収めることができれば老後の資金や年金代わりにもできるでしょう。

不動産賃貸業を始めてみよう!

不動産賃貸業は融資を受けることができれば、少額の資金で開始できます。必ず取得しなければならない資格などもなく、メリットも多いのが魅力です。不動産を購入する際の融資では団体信用生命保険に加入するケースが多いですが、これが万が一のときに生命保険の代わりの役割も果たします。長い目で見れば老後の生活に役立たせることもできるため、興味がある場合はとにかく行動を起こしましょう。

執筆者プロフィール

髙野 友樹
髙野 友樹様

公認 不動産コンサルティングマスター・宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士

株式会社 髙野不動産コンサルティング 代表取締役、株式会社 アーキバンク 取締役。
不動産会社にて600件以上の仲介、6,000戸の収益物件管理を経験した後、不動産ファンドのAM事業部マネージャーとして従事。
現在は不動産コンサルティング会社を立ち上げ、投資家や事業法人に対して不動産コンサルティングを行いながら、建築・不動産の専門家で形成される株式会社アーキバンクの取締役として、業界において革新的なサービスを開発・提供している。


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