【専門家監修】賃貸の築年数は何に影響するの?何年のものを選ぶ?

2021年1月30日

賃貸物件を選ぶ際には賃料はもちろんのこと、築年数も気になるところです。ただし、築年数が物件にどのような影響を与えているのかという点については、あまり知られていません。そこで今回は、築年数をもとに物件のメリットやデメリットについて紹介するとともに、築年数が影響する要素についても詳しく解説していきます。

「築年数」とは?

そもそも「築年数」とは、建物が完成した後、経過した年数のことを指しています。そのため、築年数が浅い物件のほうがより新しいという特徴があります。また、賃貸物件などを探している最中に、「新築」という表記を目にしたことがある人も多いでしょう。新築という言葉から、「新しい物件」ということは判断できるものの、「どれくらい新しい物件なのか」という点は、実はあまり周知されていません。建物が完成した後1年以内の物件で、まだ誰も入居していないものが新築と限定的に呼ばれています。一方、築年数があまりたっていない物件は、「築浅」という名称で呼ぶことで区別しています。ただし、築年数が古い物件であっても、リフォームやリノベーションをして手を加えていれば、新しくきれいな見た目となるケースも多いといえるでしょう。

築年数が影響する要素:家賃

築年数が経過すると、当然建物の劣化は進んでいきます。そのため、家賃は安くなるのが一般的です。たとえば、築20~30年が経った物件であれば、同じような間取りの物件を借りる場合よりも、2万円程度は家賃がやすくなる場合もあります。ただし、築10年程度の物件の場合、家賃は20年から30年経過している物件と比較すると、安くなることはあまりありません。築10年程度の物件なら、流行遅れの間取りであるということはそれほどなく、設備もまだ新しく問題なく使えることも多いという特徴があります。

築年数が影響する要素:耐震性

物件の築年数は、耐震性にも影響しています。建築基準法に定められている建物の耐震基準が1981年に改正されました。この基準によって作られた建物は、震度6~7の地震が発生した場合でも倒壊することはありません。そのため、1981年6月以前に建てられた物件の場合は、新耐震基準を満たしていないおそれがあります。そのため、賃貸物件を選ぶ際に耐震性を重視するなら、1981年の6月をひとつの基準として考えるとよいでしょう。ただし、新しい物件ほど地震に強いかというと、必ずしもそうとは限りません。建物が地震に強いかどうかを判断する際には、地盤の強さなどの要因も気にする必要があります。したがって、「新しく建てられたものだから安全」という安易な考え方は、できるだけ控えたほうが良いといえます。賃貸物件を選ぶ際に地震への強さが気になる場合は、ハザードマップなどを参考にしたうえで決定しましょう。

築年数が新しい物件のメリット・デメリット

築年数が新しい物件にはメリットとデメリットの両方があります。まず、内装や外装がきれいなことは、築年数が新しい物件の最大のメリットです。加えて、設備に関しても、浴室乾燥機やモニター付きインターホンなど、最新のものが導入されていることもめずらしくありません。地域によっては、新しい物件の場合はプロパンガスではなく、都市ガスが使えることもあるでしょう。ほかには、新しい機能のあるエアコンやLED照明などの家電が備え付けられていることもあります。これらの家電は新しいもののほうが消費電力が抑えられる傾向にあるため、電気代が安く抑えられるというメリットにもつながるでしょう。また、新しい物件は経年劣化していないため、虫が発生しにくいといわれています。

一方、「過去に入居者がいない」ということがデメリットとなることもあるのです。新しい物件の場合、実際に住んでみると何らかの問題に気付くということはよくあります。例えば、周辺環境などの良さや問題点は、その土地に住んでみることで初めて気づくこともあるでしょう。さらに、それぞれの地域が持つ要素は物件にも大きく影響するものです。具体的に、地震に対する強さやゴキブリなどの虫の問題は、築年数が新しい物件だからといって回避できないケースもあります。

築年数が古い物件のメリット・デメリット

築年数が古い物件のメリットとしては、家賃が安い傾向にあることが挙げられます。そのため、「とにかく家賃が安い物件に住みたい」と考えるなら、築年数が古い物件を探してみるとよいでしょう。古い物件であれば、人気が高いエリアにも安く住める可能性があります。また、新しい物件と比較した場合、古い物件のほうが数が多いというメリットもあります。築年数が古い物件になると人気が劣ってくるため、物件を探す側は豊富な選択肢のなかから選べる点もメリットの一つといえるでしょう。

対して、築年数が古い物件の場合は、最新設備が備え付けられていることはまれです。例えば、家電も型が古いものになると、かえって電気代が高くなる可能性が高いといえます。加えて、ある程度の築年数が経過している物件になると、きれいさやおしゃれさが劣りやすいというデメリットもあります。物件の間取りにも流行があるため、あまりにも築年数が古い物件を借りてしまうと、「住みにくい」と感じるケースも実際にはあるでしょう。また、物件によっては耐震性に不安があることもあるため、契約前には築年数についてもしっかりと確認しておくことをおすすめします。

築年数が古いけれど良い賃貸を探すには

物件を選ぶ際に、「築年数は古くても構わないが、古い物件は耐震性への不安がある」という場合には、アパートよりもマンションを選ぶという選択肢もあります。アパートとは、木造・軽量鉄骨造で2~3階建ての建物を指しています。一方、マンションとは、鉄筋コンクリート造 ・鉄骨造・鉄骨鉄筋コンクリート造で3階建て以上の建物のことであるため、より耐震性が高いといえるでしょう。また、築年数が古い物件の場合でも、リノベーションや耐震工事が行われたものであれば、デザイン性や耐震性の問題が解消されることもあります。管理体制がしっかりとしている物件の場合、たとえ古いものであっても手入れが行き届いていると不具合も起こりにくいことから、安心して住める可能性が高いといえます。

優先順位を明確にして理想の住居を探そう

賃貸物件を選ぶ場合、築年数は新しいほど良いというわけではありません。築年数が古い物件であっても適切に管理されたもののなかには魅力的な物件もたくさんあります。そのため、賃貸探しの際には築年数を意識しつつも、見た目のきれいさや設備などに優先順位をつけたうえで、納得できる物件を選ぶことが大切です。新しい物件に絞り込みすぎてしまうと失敗する可能性もあるため、広い視野を持って理想の部屋を探していきましょう。

執筆者プロフィール

髙野 友樹
髙野 友樹様

公認 不動産コンサルティングマスター・宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士

株式会社 髙野不動産コンサルティング 代表取締役、株式会社 アーキバンク 取締役。
不動産会社にて600件以上の仲介、6,000戸の収益物件管理を経験した後、不動産ファンドのAM事業部マネージャーとして従事。
現在は不動産コンサルティング会社を立ち上げ、投資家や事業法人に対して不動産コンサルティングを行いながら、建築・不動産の専門家で形成される株式会社アーキバンクの取締役として、業界において革新的なサービスを開発・提供している。


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