【専門家監修】賃貸トラブルの相談先って?スムーズな解決するには

2021年1月25日

賃貸はよい物件も多いですが、なかにはトラブルが頻発する物件もあります。「ガスなどの設備が故障した」、「子どもの足音がうるさい」といったトラブルは珍しくありません。このような問題が発生したとき、どこに相談すべきか迷う人もいるでしょう。本記事ではよくあるトラブル事例を挙げたうえで、相談先や解説方法などについて解説します。

よくあるトラブル:住居に関すること

賃貸では住居に関するトラブルが発生する可能性があります。特に、築年数が経っている物件ほど、その確率は上がるといえるでしょう。例えば、「ガスの臭いがする」といった事態は緊急性が高いです。すぐにガス会社へ連絡をしなくてはなりません。その他にも、エアコンやコンロなどが不調になるケースも考えられます。ただし、すぐに故障と思い込むのではなく、まずは説明書の内容をよく読んでみてください。設定がおかしくなっているだけであれば、自分で解決できる場合もあるでしょう。説明書がないときはインターネットで製品の型番を入力して情報を検索する方法がおすすめです。

どうしても自分で解決できないと思ったときは、管理会社などに相談し、修理の手配を依頼することになります。この際、費用を貸主が払うのか、それとも借主が払うのかについては、契約書に記載されているので確認が必要です。取り扱い説明書の内容に対して明らかに反する使い方をしていたり、故意に壊したりといった行動を取っていない限り、修理費用は貸主が負担するケースが大半といえます。

退去時の原状回復に関するトラブルも、賃貸では発生しがちです。原状回復のための金額が高額だったり、経年劣化が考慮されていなかったりしたときは、国が出しているガイドラインの原状回復の定義に反していないか確認をしてください。そして、原状回復に要する費用の内訳をみせてもらい、不審な点は指摘するようにしましょう。

よくあるトラブル:他の住人に関すること

住居に関するトラブルと同じぐらい、賃貸では住民絡みのトラブルが発生しやすいです。例えば、「子どもの足音が気になる」、「家電やステレオの音がうるさい」といった騒音に関するトラブルは後を絶ちません。ベランダでの喫煙も人によっては不快ですので、喫煙者は気をつけたほうがよいでしょう。ゴミ出し、駐車場のルール違反が原因でトラブルに発展する場合もよくあります。

こういった被害を受けるだけでなく、逆に加害者として苦情をいわれるケースも想定しておかなくてはなりません。自分でも無意識の内に、他人に迷惑をかけているケースは意外と多いでしょう。トラブルが発生したとき、話し合いを求める人もいますが、なかには直接的な話し合いに抵抗を持ち、一方的に我慢してしまう場合も少なくありません。

相談先はまずは管理会社

住居のトラブル、住人のトラブル、どちらのケースでも大家さんか管理会社に連絡をするのが基本です。管理者が不明なときは契約書を確認するようにしてください。特に、他の住民とのトラブルが発生している場合は、直接的な話し合いによって事態が悪化するケースがあり得ます。手っ取り早く解決したい人たちもいるかもしれませんが、管理会社に任せるほうが無難といえるでしょう。第三者が間に入ったほうが住民同士で話し合うよりも冷静になりやすいので、丸く収まるケースが期待できます。

解決が難しければ相談窓口へ

管理会社ではなく、大家さんが自主的に管理している賃貸であれば、トラブルを解決できるかどうかは大家さん次第になります。その大家さんが十分な対応をしてくれない、そもそも大家さんや管理会社と上手く折り合いがつかないというケースもなかにはあるでしょう。そのようなときは下記のような外部の相談窓口を活用するのがおすすめです。

1:国民生活センター
国民生活センターは全国に窓口があります。生活に関連する苦情や問い合わせの相談にのってくれますので、困ったときは電話してみるとよいでしょう。電話番号は188です。すぐには繋がらず、最寄りの相談窓口の電話番号がアナウンスされる場合もあります。

2:市区町村の相談窓口
各市区町村には法律相談を受け付けている窓口があります。さまざまなトラブルに対し、無料で弁護士に相談できますが、一般的には予約が必要です。実施日時など、ルールが自治体によって違いますので各市区町村のホームページであらかじめ内容を理解しておくようにしてください。

3:法テラス
トラブルの相談先として法テラスも頼りになる存在です。トラブルの内容によっては法的な相談も受け付けてくれます。利用条件はありますが、「民事法律扶助制度」を利用すると無料で弁護士に相談できることを覚えておいてください。

4:日本賃貸住宅管理協会
日本賃貸住宅管理協会は入居者、家主、管理会社の関係性を良くすることを目的としています。賃貸住宅に関連するトラブルでアドバイスをしてくれますが、仲裁機関ではない点には注意しましょう。また、訴訟や損害賠償など、法的な手続きが必要な相談は対象外です。あくまで相談に乗るというスタイルであり、公平性を保つ都合上、相談は1人1回までに制限されています。

ストーカー被害や窃盗など、深刻なトラブルが発生したときは、相談窓口ではなく警察に通報するようにしてください。犯罪行為は警察に任せるのが一番です。また、騒音トラブルなどであっても、夜中にあまりにうるさく困っている場合は、すぐにかけつけてくれる警察を呼ぶ手もあります。

スムーズに賃貸トラブルを解決するポイント

スムーズに賃貸トラブルを解決する方法として、下記のようなポイントに気をつけるようにしましょう。
・トラブルの証拠は写真におさめ、残しておく。いつ、なにが起きたのかも記録しておく
・契約書は必ず保管する。問題が起きたときはよく確認する
・相談するときは話す内容を整理し、わかりやすく伝えられるようにしておく

また、話し合いのときに感情的にならないのも重要です。自分が感じている問題を冷静に分析し、その対応策を明確に伝えるようにしてください。熱くなってしまうと、まとまる話もまとまらないと心得ましょう。

問題・要望を明確にして落ち着いて連絡を

健康的に日常生活を送ることを阻害するような賃貸トラブルが発生したとき、一人で抱え込むのはやめるようにしましょう。逆に、感情を爆発させるのも避けなくてはなりません。自分だけでなんとかしようとしたり、住民同士で話し合ったりするのではなく、まずは管理会社に相談をしましょう。信頼できる第三者を交え、適切な対応をしてもらうのが解決への近道といえます。

執筆者プロフィール

髙野 友樹
髙野 友樹様

公認 不動産コンサルティングマスター・宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士

株式会社 髙野不動産コンサルティング 代表取締役、株式会社 アーキバンク 取締役。
不動産会社にて600件以上の仲介、6,000戸の収益物件管理を経験した後、不動産ファンドのAM事業部マネージャーとして従事。
現在は不動産コンサルティング会社を立ち上げ、投資家や事業法人に対して不動産コンサルティングを行いながら、建築・不動産の専門家で形成される株式会社アーキバンクの取締役として、業界において革新的なサービスを開発・提供している。


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