【専門家監修】中古マンションのリノベーションにかかる費用について

2020年2月1日

中古マンションをリノベーションすれば、新築マンションを購入するよりも費用を抑えることができます。また、自分好みの住まいを完成させることができるため、内装や間取り、設備などにこだわりがある人にとってもいいでしょう。とはいえ、リノベーションにどのくらいの費用が必要なのかわからずにためらっている人も多くいます。この記事では、リノベーションでかかる費用について解説していきます。

1.中古マンションのリノベーションの費用

修繕を目的としているリフォームとは違い、リノベーションの意味は改修です。デザインを変えたり設備を刷新したりと新たな住まいへの改修になるため、リフォームよりも大掛かりな工事になるケースが多いでしょう。中古マンションのリノベーションで床の張り替えや設備の交換などを一通り行う場合の費用は、500~600万円くらいが相場だとされています。1平方メートル当たりにすると10~15万円が平均的といわれていますので、リノベーションしたいマンションの大きさを把握しておくことで、ある程度の目安を知ることができます。
ただし、リノベーションの内容やマンションの広さなどによって費用は大きく変わってきます。500~600万円というのはあくまでも目安にすぎませんので、幅を広く考えて400~1,000万円くらい見ておくと安心です。また、マンションの面積が狭い場合には1平方メートル当たりの費用が高くなりやすいので注意が必要になります。これは、トイレやバスルーム、キッチンなどの水回りの割合が大きくなるためです。水回りはある程度の費用が必要になる部分なので、1平方メートル当たりの単価は高くなってしまいます。狭いからといって、単価が安くなるわけではないことを覚えておきましょう。

2.リノベーション費用の内訳を知ろう!

リノベーション費用の内訳としてまず挙げられるのが、「基本工事費」です。中古マンションのリノベーションの場合には、既存の設備や内装を解体したり撤去したり、内装や電気配線の工事などをする必要があります。基本工事費には、設備の解体・撤去費用や処分のための工事費、木工事、内装工事、電気配線工事費用などが含まれます。
次にかかる費用が、「設備機器・資材費」です。これは、その名の通りシステムキッチンやユニットバス、便器といった住宅設備にかかる費用のことをさしています。資材費とは、床材や建具などのことです。「設計監理費」も必要になります。設計監理費は依頼する事務所や施工業者によって変わってきますが、一般的には総工事費の10%前後が支払われるケースが多いでしょう。この他にも、現場管理費やリノベーションに必要な書類の作成・申請のための費用として「諸経費」がかかります。

3.リノベーション費用に差が出る理由は?

リノベーション費用は場合によって大きく異なります。なぜ、費用に大きな差が出るのでしょうか。まずは、リノベーション内容の違いです。リノベーションと一口にいってもさまざまな事例があります。たとえば、バスルームやキッチンなどのリノベーションの場合には費用が高くなりがちです。これは、排水・配管などの設備が関係する工事では、新たに設備を作り変えなければいけないケースも多いからです。また、間取りを変更する場合にも、費用は高くなる傾向があります。
使用する素材によっても、リノベーション費用は大きく変動します。床や壁などにどのような素材を使うのかによって、金額が変わってくるのです。システムキッチンやユニットバスも同様です。これらの設備はさまざまなメーカーのものがありますし、グレードも違います。そのため、グレードの高い設備を使いたい場合には、費用が高くなるでしょう。高層階のマンションのリノベーションをする際には、資材運搬費用が高くつくケースも珍しくはありません。

4.費用の節約術1.優先順位を決める

リノベーション費用をできるだけ抑えたいと思っているのなら、「優先順位を決める」ことが重要になります。リノベーションする際に、最新のアイランドキッチンを導入したい、高機能なユニットバスがいい、などと流行のものや人気の高いものを盛り込もうとしがちです。しかし、重要なのは自分たちがどのような暮らしをしたいのかということです。しっかりと自分たちの暮らしをイメージして優先順位を決め、実現したいことを明確に業者に伝えましょう。提案内容と予算を吟味して予算オーバーであれば優先順位の低い部分から削っていきます。
優先順位を決めておくことで、コストダウンだけに集中してしまい思ったようなリノベーションにならなかったという事態を防げます。リノベーションを成功させるには、メリハリをつけることが大切です。優先したいことにはお金をかけて、こだわりの薄い部分はコストカットすると、節約しながらも満足のいくリノベーションになるでしょう。

5.費用の節約術2.業者をよく選ぶ

業者選びを慎重に行うのもポイントの1つです。一般的に全国展開しているような大手リフォーム会社は価格が高いことが多いでしょう。一方、地元の工務店は比較的安めの価格設定になっています。しかし、安ければいいというものではありません。リフォームの品質や提案力といったことをしっかりと見極める必要があります。掛け率も注目したいポイントです。掛け率とは、仕入れる製品の割引率のことでリフォーム会社によって異なります。業者がどこに利益を計上しているのかで掛け率は違ってきます。見かけの掛け率が良くても施工費用などがその分高いこともあります。比較検討して費用を節約しましょう。

6.費用の節約術3.今あるものを活用する

今あるものを活用するのもいいでしょう。リノベーションする際、間取りや内装などのデザインを変えたいと思う人も多いでしょうが、現状のものを活かせば費用を大きく抑えられます。間取りや内装の変更がなければ、床や壁、天井の解体といった下地作りにかかる費用を節約することができるのです。内装を完全に解体する場合と比べると1~2割ほど安くなるので、こだわりがあまりなければ元のデザインをそのまま活用したほうがお得です。
また、リノベーションの際には、部屋にぴったりの建具や棚にしたいと思って造作を選びがちです。既製品の建具はデザインの自由度は限られますが、寸法をセミオーダーできる場合が多く、現状に合わせて発注可能な商品といえます。少々手間がかかりますがメーカーのウェブカタログで確認することができるのです。

リノベーション後の暮らしをイメージしてプランを立てよう!

中古マンションのリノベーション費用は事例によっていろいろ異なるのは当然ですが、大切なのはリノベーションの目的を明確にしておくことです。漠然としたイメージだけではリノベーションは成功しません。
自分たちの生活スタイルをどうしたいのか、費用はどれだけなのか、好みの建材についてなど、なるべく明確に業者に伝えるようにしましょう。またプロからの提案にも期待することを忘れずに。

執筆者プロフィール

御前 好史
御前 好史

御前 好史(建築家・リフォームコーディネーター)
株式会社みさき建築研究所を設立して主に住宅の設計監理をしています。
コスト・住まいのエネルギー・安全性と生活スタイル、これら3つの合理化を
実現する家づくりを実践してきました。
大改造劇的ビフォーアフターで狭小住宅のリノベーションなど。


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