【専門家監修】新築建売戸建住宅購入にかかる諸費用は?シミュレーションしてみよう
新築建売戸建住宅を購入する際に必要になる費用は、建物代や土地代だけではありません。税金や保険など、細かい諸費用がたくさんあるため、購入する前に諸費用を含めた予算のシミュレーションをしておくことが大切です。それでは、新築建売戸建住宅の購入にはどのような費用がかかるのでしょうか。ここでは、新築建売戸建住宅購入に必要な諸費用の内訳や目安について解説します。
1.新築建売戸建住宅の購入にかかる諸費用とは
新築建売戸建住宅の購入時には、土地代や建物代に加えて、さまざまな諸費用を支払わなければなりません。たとえば、売買契約の際にあらかじめ支払う手付金や、決済時にかかる税金関係の費用、あるいは保険料などが、住宅購入時の諸費用として挙げられます。不動産仲介会社が間に入っている場合には、仲介手数料も必要です。
こうした諸費用は、住宅ローンの借入額に含まれることはなく、それぞれ契約時や決済時に現金で支払うことになります。諸費用の計算をあらかじめしておかないと、支払時に現金が足りないということにもなりかねません。予算を組む当初から諸費用の計算もしっかりしておくことが重要です。
2.諸費用の内訳①売買契約するとき
新築建売戸建住宅の販売方法には次の3つのパターンがあります。
A.売主である不動産会社が自ら販売する場合
B.売主である不動産会社が別の不動産会社に販売を委託する場合
C.売主である不動産会社とは別の不動産会社が仲介する場合
AとBの場合には、売買契約のみですが、Cの場合には売主との売買契約以外に、仲介会社との媒介契約も必要です。不動産会社との売買契約時には、手付金や頭金といった住宅購入代金の他に、契約書の印紙税などの諸費用も発生します。印紙税とは、契約書を作成する際にかかる税金のことです。住宅購入の契約では、契約書の作成が必須なので、売買価格に応じた印紙税が必要になります。
また、住宅ローンの「フラット35」を利用する場合には、適合証明手数料も売買時に支払わなければならない諸費用のひとつになります。適合証明とは、フラット35の融資条件を満たした住宅であることの証明です。適合証明手数料とは、証明書を交付する際に発生する手数料で、購入する住宅の種類や状態にもよりますが、おおむね5~7万円が目安となります。
3.諸費用の内訳②決済時の税金関係
印紙税を含め、決済時には税金関係の諸費用が必要です。印紙税は契約書を作成する際に発生する税金なので、住宅ローンの契約をする際も発生します。売買契約時とは金額が異なるので注意しましょう。印紙税は契約金額に応じて変動するので、いくら用意しなければならないかをあらかじめ確認することが大事です。
決済時にかかる税金関係の諸費用には、他に登録免許税や不動産取得税などがあります。登録免許税は不動産の登記をするときに課される税金、不動産取得税は土地や建物を取得する際に一度だけ発生する税金です。登録免許税は司法書士報酬などの登録費用と合わせて決済時にまとめて支払いますが、不動産取得税は決済時に支払う必要はありません。不動産取得税は地方税法に基づいて税額が決定され、後日(取得からおおむね6カ月~1年後)所在する都道府県から納税通知書が送られてくるものだからです。
その他、税金ではありませんが、売主である不動産会社とは別の不動産会社の仲介によって住宅購入した場合は、仲介手数料を支払わなければなりません。支払いのタイミングは、契約時と決済時に50%ずつ支払うケースと決済時に100%支払うケースがあります。
新築建売戸建住宅の場合は仲介手数料がかからないことも多いので、後でトラブルにならないように、契約する前に仲介手数料の有無についてはしっかりと確認しておきましょう。
4.諸費用の内訳③決済時のローンや保険関係
決済時には、税金だけでなく、ローンや保険関係でも諸費用が発生します。まず、住宅ローンの事務手数料がその代表格です。これは住宅ローンを組む際に金融機関に支払う手数料のことで、借入額に応じて支払うパターンと固定金額を支払うパターンの2種類があります。手数料は金融機関によって金額が異なるので、あらかじめ確認するようにしましょう。
住宅ローン契約の決済時には、事務手数料の他にローン保証料や斡旋手数料といった諸費用も支払う必要があります。ローン保証料は、金融機関ではなく保証会社に支払う費用です。万が一、ローンの返済が困難になった際に、保証料を支払った保証会社が残債を補填してくれます。住宅ローンの斡旋手数料は、ローンの手続きを不動産会社に依頼した際に発生する手数料です。その他、火災保険料や地震保険料も決済時に支払うのが通例となっています。金額や補償の対象は加入する保険の内容や保険会社によって異なるので、よく比較検討したうえで、どのような保険に加入するのか決めると良いでしょう。
5.諸費用の内訳④その他
税金関係や保険関係以外にも、細かな諸費用が発生するのでしっかり確認しておきたいところです。たとえば、建売戸建住宅なのに、別途地盤調査費が請求されている場合があります。地盤調査とは、住宅を建てるのに地盤に十分な強度があるかどうかを調べるためのものです。調査自体にかかる費用は10万円前後ですが、調査の結果、地盤の改良が必要ということになれば、調査費用に加えて工事費用も必要になります。しかし、新築建売戸建住宅の場合、地盤調査費や地盤改良費は売買価格に含まれるのが一般的です。別途地盤調査費用や地盤改良費が請求されないか、契約する前にしっかり確認しましょう。
また、住宅購入の際には消費税が課されます。消費税は一般的には諸費用ではなく、住宅本体価格の一部として住宅ローンの借入額に含まれるので、消費税分の現金を別途準備する必要があるというわけではありません。なお、消費税は建物のみにかかり土地代にはかかりません。
6.新築建売戸建住宅購入にかかる諸費用の目安
新築建売戸建住宅の購入時にかかる諸費用は、購入価格の5~10%が目安です。たとえば、物件価格が4000万円の場合、2020年3月31日までに作成される不動産売買契約書にかかる印紙税額は1万円(軽減後)で、住宅ローンの借り入れにも印紙税が別途かかります。新築建売戸建住宅購入の場合、土地の所有権移転と建物の所有権保存の登記が必要です。その際には登録免許税がかかります。土地の所有権移転の場合、本則は課税標準(固定資産課税台帳の価格。台帳の価格がない場合は、登記官が認定した価額)の2%ですが、2021年3月31日までは軽減税率が適用され1.5%です。また、住宅用家屋(床面積が50㎡以上、新築または取得後1年以内の登記であることなど、一定の要件がある)の所有権の保存登記は、課税標準の0.4%ですが、2021年31日までは軽減により課税標準の0.15%となっています。
住宅ローンを借り入れる場合は、融資手数料や保証料、団体信用生命保険料、印紙税、登記費用が別途かかります。融資手数料は、1000万円当たり20万円前後、あるいは融資金額2%に設定されるのが一般的です。ローン保証料は返済が滞った場合に備えて支払うもので、融資手数料と同額に設定されているケースが目立ちます。団体信用生命保険はローン返済中に万が一死亡したときでもローンを完済できるようにかけておく保険です。団体信用生命保険料も諸経費ですが、ほとんどの場合、ローンの金利に含まれています。具体的には1.5%の金利が1.7%になるというような形で上乗せされるのが普通です。
実際に新築建売戸建住宅を購入する場合、諸費用は取得物件やローンの有無、購入する物件の地域などさまざまな要素によって変わります。そのことを理解したうえで、諸費用がどの程度必要なのか目安を確認しておきましょう。
諸費用も念頭に置いて資金計画を立てよう
不動産購入の際は、建物や土地の価格だけではなく、種々の諸費用が発生することもしっかり覚えておきましょう。購入する不動産によっては、諸費用だけでも大きな金額になる場合も珍しくありません。諸費用は現金で支払うのが一般的ですから、支払いの際に予算不足に陥らないためにも、資金計画の際は諸費用もしっかり念頭に置いて計算しておくようにしましょう。
執筆者プロフィール
- 岡田 忠純
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岡田 忠純(不動産鑑定士・不動産証券化協会認定マスター)
不動産の鑑定評価はもちろん、不動産のキャッシュフロー分析や、取引、投資、開発などのアドバイザリーとして多くの実績がある、不動産のプロフェッショナル。官公庁からの依頼にも数多く対応している。