【専門家執筆】住宅ローンの種類と自分に合ったローンの選び方

2019年5月1日

家を購入するときに利用する住宅ローン、お住まいの地域でも利用できる住宅ローン商品は数多くあります。民間の住宅ローン商品として銀行ローンとフラット35、公的な住宅ローンとして財形住宅融資などありますが、どれが自分に合っているのか判断するのは容易ではありません。そこで、それぞれの特徴と選び方について考えてみました。

銀行ローン

銀行ローンは、大手都市銀行から地方銀行、信用金庫、ネット銀行などさまざまな選択肢があります。完済時の年齢上限や適用金利も金融機関によって異なります。適用金利は、多くの金融機関は融資実行時の金利としていますが、中には契約時の金利としているところもあります。
また、金利タイプとして、年2回金利を見直す変動金利、借入当初から一定期間の金利を固定する期間選択型、フラット35のように全期間固定金利を扱っている金融機関もあります。また、これらを借入金額の割合に応じてミックスするミックスローンも多くの金融機関で取り扱われています。
金融機関によって、変動金利に力を入れているところ、期間選択型の商品、たとえば当初10年固定の商品に力を入れているところなどさまざまです。

フラット35

フラット35は独立行政法人である住宅金融支援機構が民間金融機関の住宅ローン融資を買取ることで長期間の固定金利を安定的に供給できるようになっている商品です。
返済期間は最長35年で、適用金利は融資実行時の金利となります。省エネルギー性や耐震性を備えた住宅を取得する場合に一定期間の金利を引き下げるフラット35Sや提携する地方公共団体で子育て支援型や地域活性化型の条件を満たすことで金利を引き下げる制度もあります。
借入期間が20年以下か否か、融資率が9割以下か否かによって適用金利が変わります。融資率とは、建設費や購入価格に対する借入金額の占める割合です。
金融機関によって商品内容の違いはありませんが、適用金利や事務手数料は異なる点は注意が必要です。

財形住宅融資

財形住宅融資は、会社員や公務員を対象とした財形貯蓄を原資とした住宅ローンです。融資額は、財形貯蓄残高の10倍(最高4,000万円)まで住宅の新築、購入費用の9割までという上限が設けられています。ただ、フラット35との併用が可能で、その場合必要資金100%の借入も可能です。
金利については、全返済期間5年ごとに適用金利が見直される5年固定金利制となっており、申込み時点の金利が適用されます。ただし、5年ごとに見直しされる金利について上限がありませんので、金利の上昇のしかたによって返済額が急激に増える可能性もあります。

住宅ローンの選び方

住宅ローンを選ぶ際にまず考えることは金利タイプです。もし、借入時点から将来の金利変動のリスクを心配するのであれば、全期間固定金利タイプや当初の固定期間が長めの期間選択型の商品が選択肢に上がります。全期間固定金利の代表格がフラット35になります。
ただ、全期間固定金利タイプの適用金利は、金利変動のリスクがない分、ほかの金利タイプに比べて高くなりますので、返済額は多くなります。
金利変動のリスクを軽減するという目的であれば、借入金額や返済期間、貯蓄、家族構成にもよりますが、期間選択型の銀行ローンなどを選び、固定期間中に借入残高を減らすという選択もあります。
一方、将来の金利上昇はあまり考えないということであれば、適用金利が低く設定されている変動金利や当初固定期間が短めの期間選択型の商品が選択肢に上がります。5年固定金利制の財形住宅融資も金利状況によっては、選択肢となります。
ただ、当然こういった商品は金利変動によっては返済額が増えたり、返済自体が困難になったりするリスクもありますので、そういったリスクを十分に認識した上で選択する必要があります。
また、住宅ローン審査でも選び方が変わる可能性があります。住宅ローン審査では、購入する物件の審査と借入する人の審査があります。
銀行ローンではどちらも重要ですが、フラット35の場合、物件の審査は重視されるものの人的な審査はほかの住宅ローンと比べると通りやすいです。ですので、個人事業主や契約社員などで民間の銀行ローンでの審査が厳しそうな場合に向いている商品と言えます。
また、フラット35では、団体信用生命保険も任意加入という選択ができますので、健康面に不安のある場合は選択肢になるでしょう。
一方、銀行ローンでも一般的に適用金利が低く設定されているネット銀行などの審査は厳しめです。また、市中銀行の中でも、大手銀行より地方銀行などのほうが審査で採用される資料など柔軟に対応してくれる傾向があります。
このように住宅ローン審査が通りやすさによって、選べる住宅ローンが変わる可能性があります。

まとめ

皆さんが住宅ローンを選ぶ際には、少しでも返済額を少なくしたいと考えるかと思います。ただ、金利は全期間固定金利を除き、変動する可能性があるため完済するまで返済額は分かりません。基本的には金利変動リスクが高いほど、適用金利は低くなっていますので、そのバランスをどう考えるかによって選択する住宅ローン商品は変わります。
同時に、マイホームを購入するためには住宅ローン審査が通らなければいけません。自分の仕事や収入面、借入金額などによって選択肢が制限されることもあります。
住宅ローンは借入金額も大きく、長期に渡る返済ですので、家計に対する影響は少なくありません。無理なく最後まで返済できる返済計画や住宅ローン商品であることが必要です。

執筆者プロフィール

吉満 博様

吉満 博
吉満 博(不動産コンサルタント)
大学で建築を専攻後、ゼネコンやハウスメーカーでの経験、自身のマイホーム購入での後悔から、住宅購入を中心に、買い替えや売却、リフォーム、購入後の家計改善を売り手ではない第3者の立場からサポートする『あなたの住宅購入相談室』をスタート。
住宅にまつわるお金のこと、土地建物のことまとめて、老後までのライフプランをベースに長期の視点でサポートします。


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