【専門家執筆】住宅ローン減税だけではない!すまい給付金制度を利用しよう!
「すまい給付金」とは消費税率が5%から8%に引き上げられたことによる住宅取得者の負担を軽減する目的で最大30万円が現金で給付される制度です。住宅取得者の負担を軽減する制度としては「住宅ローン減税」もありますが、住宅ローン減税は住宅ローン残高の1%を所得税等から控除する仕組みのため、そもそも収入が低めで納める税金が少ない人はその効果を十分に受けられない場合があります。一方ですまい給付金は収入が少ない人ほど給付される金額が大きくなるので、住宅ローン減税のメリットが限定的な収入層への補完効果があります。
対象者・給付額
すまい給付金の対象となるのは次の要件を満たす人です。
・取得した住宅を所有する(不動産登記上の持分保有者)
・取得した住宅に居住する(住民票で居住が確認できる)
・収入が一定以下
・(住宅ローンの利用がない場合)年齢が50歳以上
対象となる収入の目安は年収510万円以下とされていますが、厳密には市区町村発行の個人住民税の課税証明書に記載される「都道府県民税の所得割額」で判定されます。給付額は「給付基礎額×持分割合」で計算され、「給付基礎額」は収入により10万円、20万円、30万円に区分されます。
もし夫婦二人で持分を共有する場合はそれぞれが自分の持分について申請する必要がありますが、収入が低いほど給付基礎額は大きくなるので、50%ずつ共有していたとしても夫と妻の収入が違えばそれぞれの給付額も違ってきます。
なお、消費税率が10%に引き上げられた後は給付基礎額の上限も30万円から50万円に引き上げられる予定です(10%に引き上げ後の収入の目安は年収775万円以下)。
住宅の要件
一戸建てでもマンションでも、新築でも中古でも対象になりますが、その住宅が次の要件を満たす必要があります。
・引上げ後の消費税率(8%・10%)が適用される
・床面積が50㎡以上
・第三者機関の検査を受けた住宅である
・(新築住宅で住宅ローンの利用がない場合)フラット35Sと同等の基準を満たす
中古住宅の場合、宅地建物取引業者からの取得であれば対象になりますが、消費税が非課税となる個人間売買による取得の場合は対象にならないので注意が必要です。
第三者機関の検査については新築住宅と中古住宅で要件が異なりますが、新築住宅の場合は施工中等に第三者の現場検査を受け、次の1~3のいずれかに該当する必要があります。
1. 住宅瑕疵担保責任保険に加入した住宅
2. 建設住宅性能表示を利用する住宅
3. 住宅瑕疵担保責任保険法人により保険と同等の検査が実施された住宅
いずれも施工中の検査のため、着工前に申し込む必要があることに注意が必要です。
実施期間
すまい給付金は消費税率が8%に引き上げられた2014年(平成26年)4月から導入されており、2021年(平成33年)12月までに引き渡され入居が完了した住宅が対象になります。
申請方法・必要書類
申請は住宅の引渡しを受けてから1年以内(当面は1年3ヵ月に延長)に行う必要があり、入居後に必要書類をすまい給付金事務局に郵送するか全国のすまい給付金申請窓口に持参します。住宅事業者等による手続代行も可能ですが、給付金の代理受領を行う場合は郵送による申請はできません。
申請書類は「新築/中古」、「本人受領/代理受領」、「住宅ローン/現金」の区別によって必要な書類が異なります。参考までに「新築」「本人受領」「住宅ローン」の場合は次の書類が必要です。
・給付申請書
・建物の登記事項証明書・謄本(発行日から3ヵ月以内)
・住民票の写し(取得住宅の住所で発行日から3ヵ月以内)
・個人住民税の課税証明書(非課税証明書)
・工事請負契約書または不動産売買契約書
・住宅ローン契約書(住宅取得に係る金銭消費貸借契約書)
・給付金受取口座を確認できる書類(通帳のコピー等)
・施工中等の検査実施が確認できる書類(下記のうちいずれか1つ)
-住宅瑕疵担保責任保険の付保証明書
-建設住宅性能評価書
-住宅瑕疵担保責任保険法人検査実施確認書
このように多くの書類が必要になるので、住宅事業者等に確認しながら早めに準備しておきましょう。給付申請書はすまい給付金のホームページからダウンロードできます。
http://sumai-kyufu.jp/download/index.html
まとめ
給付を受けるための要件や手続きに必要な書類が煩雑に感じられるかもしれませんが、条件さえ満たせば住宅ローン減税と併用できて、最大で30万円ももらえる制度なので、利用しない手はありません。申請しないと給付は受けられませんので、これから住宅を取得する予定がある人、購入して1年3ヵ月以内の人はよくチェックしてみてください。
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