【専門家執筆】住宅ローン控除(減税)の確定申告を忘れても申請できる?
ローンを組んで家を購入した方や省エネ対策、バリアフリーのための特定の改修工事を行った方、住宅ローン控除をご存知ですか? 住宅ローン控除(減税)とは10年間、所得税や住民税から住宅ローン残高の1%が還付される制度です。つまり、税金が還ってきます。この制度を利用するために、必要なものが確定申告です。
通常、確定申告をしていない方(例えば給与所得者)は、会社が行う年末調整で納税額が精算されるため、確定申告をする必要はありませんが、住宅ローン控除を利用するために最初の年は確定申告が必要です。住宅ローン控除(減税)の確定申告を忘れたときの対処方法は、給与所得者の方と個人事業主の方では異なります。
住宅ローン控除の申請を忘れてしまったら控除は受けられるの?
給与所得者は、確定申告期限(翌年の3月15日)を過ぎても住宅ローン控除の手続きができます。
還付申告は、確定申告をする義務のない人が、確定申告によって、納め過ぎの税金の還付を受けることができる制度です。還付申告は、確定申告期限とは関係なく、居住を開始した翌年の1月1日から5年間請求できます。ただし、控除される額が所得税から引ききれない場合は、住民税から控除される仕組みとなっています。また、確定申告の期限を過ぎた場合、住民税の控除は原則受けられません。
一方、個人事業主等で確定申告時に住宅ローン控除を忘れてしまった場合は、更正の請求ができる場合があります。更正の請求書が提出されると、税務署ではその内容の検討し、納め過ぎた税金があると認められる場合には、税金が還付されます。更正申告は、確定申告をした時から5年間です。しかし、更正の請求はあくまでも、計算を間違えて払いすぎた税金を還付するためにあるものですから、受け付けてもらえない場合もありますので、事前に税務署に相談しましょう。
住宅ローン控除の申請を忘れてしまったときの手続き方法とは
給与所得者の場合、各種必要書類を用意し税務署に提出します。
提出方法は郵送、持参、e-Taxなどがあります。申告書は、最寄りの税務署でもらえますが、国税庁のホームページで金額等を入力し作成することもできます。作成した申告書を税務署へ持参してもよいですし、郵送での提出も可能です。
2年目以降は、年末調整で勤務先に必要書類を提出し手続きします。年末調整の修正は翌年の1月末まで可能です。ただし、勤務先によっては、手続きが難しい場合もあります。勤務先で年末調整の修正ができない場合や1月末を過ぎてしまったときは、自分で確定申告を行います。
個人事業主の場合、更正の請求ができるか、まずは税務署に相談してみましょう。更正の請求書は税務署でもらえます。また、国税庁ホームページでも作成可能です。
申請を忘れてしまったときに必要な書類は?
申告に必要なのは、次の7つの書類です。
1. 確定申告書(給与所得者はA様式、個人事業主はB様式)
2. 住民票(平成28年1月1日以降居住開始分は不要)
3. (特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書
4. 土地・建物の登記簿謄本
5. 源泉徴収票
6. 売買契約書または建築請負契約書
7. 金融機関等からの借入金残高証明書
個人事業主の場合も記載しましたが、更正の請求はできないものと考えるのが一般的です。
まとめ
給与所得者の場合、5年以内であれば還付を受けることができるという点で、個人事業主の方の場合と違いがありましたね。確定申告を忘れないのが一番ですが、忘れてしまった場合も給与所得者の場合は安心です。個人事業主の方も諦める前に、まずは税務署に相談することをおすすめします。
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