【専門家執筆】生活福祉資金貸付制度とは?種類と金額、申込条件を解説
所得が少ない世帯など、生活が苦しい人がお金を借りられる公的制度として生活福祉資金貸付制度があります。この貸付制度は、各都道府県や市町村の社会福祉協議会で受け付けております。経済的に苦しい方が対象となる制度なので、無利子もしくは民間金融機関よりも低い金利で借りることができます。
貸付は用途や借り方に合わせてさまざまな種類があり、それぞれ申し込み条件や融資条件が異なります。利用を希望する人はまず、自分の生活状況で申し込みができるか、またどれに該当するかを調べておいた方が良いでしょう。
生活福祉資金貸付制度とは
生活福祉資金貸付制度は、所得が少ない世帯などの生活を支援するための貸付制度です。
所得が少ない世帯などに対して、無利子または低金利で資金の貸し付けと必要な指導援助を行うことにより、生活の安定と経済的自立、生活意欲の助長・促進、在宅福祉や社会参加を図り、その世帯の安定した生活を確保することを目的としています。
生活福祉資金貸付制度の金利は無利子から年3.0%であり、ほとんどの資金は連帯保証人がいれば無利子になります。また、福祉資金のうち緊急小口資金と教育支援基金は連帯保証人なしでも無利子で借りられます。
連帯保証人は、同一都道府県に住んでいて、なおかつ生計を別で立てている人であることが原則として求められます。
どんな人が利用できるの?
資金種類に応じて、次の世帯を貸付対象としています。
1.低所得者世帯……必要な資金を他から借り受けることが困難な世帯(市町村民税非課税程度)
2.障害者世帯……身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳の交付を受けた者が属する世帯
3.高齢者世帯……日常生活療養又は介護を要する65歳以上の高齢者の属する世帯
4.失業者世帯……生計中心者の失業により生計の維持が困難となった世帯
種類と金額について
生活福祉資金貸付制度は、病気やけがで療養費や生活費が必要になったときや、高齢者の介護費用が必要になったとき、修学資金が必要になったときなどに役にたちます。
生活福祉資金貸付制度の資金は大きく4種類に分類でき、そのなかで細かく9種類に分類されます。用途に合わせてそれぞれ申し込むことになります。
1.総合支援資金(生活支援費、住宅入居費、一時生活再建費)
2.福祉資金(福祉費、緊急小口資金)
3.教育支援資金(教育支援費、修学支度金)
4.不動産担保型生活資金(不動産担保型生活資金、要保護世帯向け不動産担保型生活資金)
借りることのできる金額は、資金の種類ごとに異なります。
1.総合支援資金
「生活支援費」では、2人以上世帯だと月20万円以内。1人世帯だと、月15万円以内です。「住宅入居費」では40万円以内、「一時生活再建費」では、60万円以内です。
2.福祉費
「福祉費」は、580万円以内、「緊急小口資金」は、10万円以内です。
3.教育支援資金
「教育支援費」は、高校は月3.5万円以内、高専は月6万円以内、短大は月6万円以内、大学は月6.5万円以内です。事情に応じて月額限度額の1.5倍まで貸付が認められる可能性もあります。「就学支度費」は、50万円以内です。
4.不動産担保型生活資金
「不動産担保型生活資金」は、土地の評価額の70%程度で、月30万円以内です。「要保護世帯向け不動産担保型生活資金」は、土地及び建物の評価額の70%程度(マンションは50%)で、生活扶助額(生活保護)の1.5倍以内です。
申し込むための方法とは
生活福祉資金貸付制度は、住民票がある都道府県で相談・申込みできます。自治体によっては内容が異なる場合があるので、注意してください。
福祉費、教育支援資金、不動産担保型生活資金の借入れは、お住まいの市区町村社会福祉協議会に相談し申し込みます。申請書類を提出後、審査を受け、「貸付決定通知書」または「不承認通知書」が送付されます。
総合支援資金、緊急小口資金の借入れは、自立相談支援事業の利用が貸付の要件となります。
自立に向けた支援プランを検討し、生活福祉資金(総合支援資金、緊急小口資金)の利用の可能性が考えられる場合、借入額や返済計画などを相談の上、申請する流れになります。
審査申し込みに必要な書類は、都道府県社会福祉協議によって確認する必要がありますが、基本的なものは健康保険証や住民票の写し、世帯状況を証明できる書類、連帯保証人の資金力を証明する書類、失業中の方は自立のための計画書、障害者は障害手帳などがあります。貸付の種類によって、提出書類も変わってきますので確認が必要です。
まとめ
生活福祉資金貸付制度は、一般の金融機関での借り入れができない方でもお金が借りられるので安心ですね。しかし、希望すれば必ず限度額いっぱい借りられるというわけではありません。失業した人が生活支援費を借りるなら、失業前の給料をもとに適正な金額を話し合い決めることになります。
また、生活支援費は最長12カ月借りられますが、就職が決定した時点で打ち切りとなります。
まずは、都道府県の社会福祉協議へ相談してみてはいかがでしょうか。
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