【専門家執筆】不動産の節税対策~不動産取得(購入)時~
不動産取得(購入)時にかかる税金を解説
税金の種類ごとに、簡単に確認してみましょう。
印紙税:不動産の売買契約書や住宅ローン契約の締結、あるいは注文住宅の工事請負契約など、住宅を取得するために必要な様々な契約書を作成する際、その契約金額に応じた印紙税を納めなければなりません。印紙を購入し、契約書に貼り付け、印鑑を押すことで納税したことになります。
登録免許税:不動産を購入すると、土地建物に関する各種情報を法務局で登記することになります。その登記時に必要なのが登録免許税です。所有権や抵当権など、登記する情報の種類や資産の価額に応じて税額が決まります。
不動産取得税:不動産を取得したことに対して支払う税金です。取得した資産の評価額に税率を乗じることで税額が計算されます。
消費税:皆さんにとって最も身近な税金である消費税。これも不動産売買に関わってきます。実は土地の売買については消費税がかかりません。しかし住宅部分については消費税が課税されます。住宅部分の価額に8%を乗じた金額が課税されます。
印紙税と消費税は、住宅を購入したりサービスの提供を受ける消費活動に対して課税されています。一方で登録免許税、不動産取得税は不動産を所有することに対して課税されています。「自分が行ったどんな行動に対して課税されているのか?」は大切なことです。これは、このあと不動産の保有を続けたり、売却をする時点で問題になってきます。
【税金の種類別】節税(優遇措置)とその方法について
これも、税金の種類ごとに確認をしていきましょう。
印紙税:住宅の売買や工事請負に関する契約書については、平成30年3月31日までを期限に必要な納税額が軽減されています。住宅ローンの契約書については対象となっていません。
登録免許税:床面積が50㎡以上の住宅については、一定の用件を満たす場合に軽減税率が適用されます。また認定長期優良住宅や認定低炭素住宅の場合には、更に低い税率が適用されます。こちらも平成32年3月31日までと期限が区切られています。
不動産取得税:土地や住宅に関しては、平成30年3月31日までを期限として軽減税率が適用されます。また宅地や一定の要件に該当する住宅の購入では、税金計算の基礎となる固定資産税評価額も減額されます。評価額が下がり、適用税率も下がることで、かなり大幅に税額が減少することになります。また、タワーマンションを活用した過度な節税対策を防止する観点から、平成30年4月以降に引き渡されるタワーマンションの高層階物件については、税金が引き上げられることになります。
消費税:住宅を対象とした特別な減税は特に用意されていません。ただし、消費税率は平成31年10月1日から税率が10%に引き上げられる予定です。それまでに購入をした方が、税金は安くなります。また平成31年3月31日までに契約が済んでいる場合には、平成31年10月1日以降に引き渡しとなっても8%の税率が適用されることになっています。
まとめ
一般的な居住用不動産の取得に関わる節税策というのは、基本的には「定められた期限までに」「土地建物を購入すると」「税金が安くなるよ」というものばかりです。ですので、節税を意識するのであれば「いつまでに購入をすればこの規定が適用されるのか?」ということをしっかりと確認しておくことが必要です。また、近年の経済停滞も踏まえ、多くの税制優遇策は延長が繰り返されています。ご自分が適用を受けたいと考えている節税策についても、延長がされるかもしれません。その辺りの情報にも敏感でいる必要があります。
現在の持ち金残高、所得の状況、そして節税、総合的に勘案して適正な価格帯の物件を購入するようにしたいものです。
【著者プロフィール】
- 高橋 昌也(税理士) 高橋昌也税理士・FP事務所
- 2006年税理士試験に合格し、翌年3月高橋昌也税理士事務所を開業。
その後、ファイナンシャルプランナー資格取得、
商工会議所認定ビジネス法務エキスパートの称号取得などを経て、
現在に至る。
[保有資格]
AFP、税理士、商工会議所認定ビジネス法務エキスパート