2015年5月21日 更新
スマートハウスとは、その名のとおり「賢い(=スマート)住宅」という意味。その定義はハッキリと決まっていませんが、一般的に、エネルギーを節約する「省エネ」、エネルギーを生みだす「創エネ」、エネルギーを蓄える「蓄エネ」の3つの機能を持ち、この機能を「HEMS(ヘムス)」=ホーム・エネルギー・マネジメントシステム(住宅用エネルギー管理システム)というIT技術によって自動的にコントロールできる住宅のことを、スマートハウスと呼んでいます。従来の家づくりは、エネルギーの消費を抑える「省エネ住宅」が人気でしたが、スマートハウスは「省エネ」だけではなく「創エネ」「蓄エネ」の機能も有し、「HEMS」で管理することで家庭内の電気やガスの使用を最適な状態に保つため、従来の省エネ住宅より省エネ・節約効果が高いというメリットがあります。
- 省エネ
- スマートハウスには、エコキュートやエコジョーズといった高効率給湯器、LED照明、断熱性の高いエコガラスを取り入れた窓など、家庭で使う電力やガスなどのエネルギーをできるだけ減らす設備が備わっています。また、設備以外でもエアコンの効率を上げる高断熱・高気密の構造や、自然の風や光を室内に取りこむ間取りなどの工夫があります。
- 創エネ
- 太陽光発電システムや家庭用燃料電池といった設備を利用して、暖房や給湯などに必要なエネルギーをつくります。これにより電気代やガス代が抑えられるだけでなく、太陽光発電でつくった電力が消費電力を上回る場合、電力会社に電力を買い取ってもらう「売電」も可能になります。
- 蓄エネ
- 太陽光発電システムでつくった電力は、家庭で消費したり電力会社に売ったりするほかに家庭用蓄電池にためておくこともできます。日中に余った電力を充電しておき、夜間に消費すれば電気代の節約に。また停電時の非常用電源としても使用できます。電力によって走行するエコカー(EV・PHEV)にも蓄電機能があります。
- 省エネ
- 上記の3つの機能をネットワークでつなぎ、エネルギーの使用量や使い道をコントロールする管制塔のような役割を持つ装置です。例えば太陽光発電で電気をつくったとして、この電気を家庭で消費するのか、売電するのか、あるいは家庭用蓄電器に蓄電して夜間の使用に回すかを状況に応じて的確に判断します。ほかにも専用端末を使って消費電力や節電量をチェックすることができます。
家庭のメリット
- 光熱費を削減できる
- 生活をしていく上で、電気やガスなどのエネルギーは欠かせないもの。電気は電力会社から、ガスはガス会社から買うのが一般的ですが、スマートハウスなら太陽光発電システムで電気をつくり、家庭で消費したり、余った電力を売電したりすることもできます。また、高断熱・高気密の構造は少ない電力で効率よくエアコンが効くので、電気の消費量が少なくなるなど光熱費の削減につながります。
- 旧省エネ基準による住宅は年間253,350円の光熱費が発生しますが、スマートハウスの場合、日中に太陽光発電システムで発電して余った電力を売電し、夜間に安価な深夜電力を蓄電することで、光熱費を年間268,550円削減(▲106%)※できます。
※関西電力、大阪ガスの料金体系で「xevo」(136.23m2)での試算。(2011年9月1日時点)
資料提供/大和ハウス工業
- 環境への関心や節約意識が高まる
- スマートハウスに装備されている「HEMS」は、専用端末やスマホ(スマートフォン)などのモニターでエネルギーの消費量や発電量、電気代やガス代がどれくらいかかっているかなどがひと目で分かるようになっています。そのため、電力の消費量が多い時はこまめにスイッチをOFFするなど、家族で楽しみながら省エネと節約の習慣が身につきます。省エネをとおして環境への関心も高まります。
- スマホや車とも連動できるので便利
- スマートハウスの魅力は家の中だけではありません。お手持ちのスマホやエコカー(EV、PHVといった電気自動車)とも連動している場合は、外出先からスマホで玄関の施錠やエアコンのON・OFFを操作したり、エコカーを充電したりすることもできるので快適度がアップします。
- 災害時の非常用電源になる
- 家庭用充電池やエコカーにある「蓄エネ」機能を使えば、地震や台風などの災害で停電した時でも、非常用電源を確保することができます。災害はいつ起こるか分かりませんから、万一の備えとして非常用電源があれば心強いですね。
社会のメリット
- CO2排出量の削減に役立つ
- 現在、世界で最も多くエネルギーを生みだしているのは火力発電ですが、発電時に排出されるCO2が地球温暖化の一因とも言われているため、世界的にCO2の排出量を削減する動きが高まっています。スマートハウスなら、太陽光を利用することでCO2を排出しない発電が可能です。太陽光で自家発電した電力を消費したり、省エネ設備で電力やガスの消費量を抑えたりすることもできるため、CO2排出量の削減効果が期待できます。
- 電力のオフピークに効果的
- 一般的に、電力の消費量は冷暖房がフル稼働する日中にピークを迎えます。けれどもスマートハウスは家庭内で太陽光発電システムなどを使った「自家発電・自家消費」が可能なので、電力消費のピークを避けて発電施設の効率的な運用に役立ちます。
- メリットがあるのは分かったけれど、省エネのために生活が不便になるなどデメリットはないの?
- 生活に無理のない範囲で省エネできるから「スマートハウス(=賢い住宅)」なんです!
「省エネ」や「エコ」というと、普段の生活より不便になったり我慢したりすることが多いと感じる人もいるかも知れませんが、スマートハウスだからといって従来の一般的な住宅と比べて生活が不便になることはありません。むしろ今までより住宅の高断熱・高気密が進み、すきま風がなくなることで、短時間のエアコンで室内が適温になるなど、快適さを感じられるでしょう。光熱費の節約にもなるので、長い目で見ると家計も助かるはずです。
ただし太陽光発電システムや省エネ家電など新しい設備が増える分、導入コストや操作に慣れるまでの時間が必要になることは確か。それでも省エネや節約に効果のある設備を取り入れたいなら、スマートハウスを検討する価値は十分にあります。
- 「省エネ」「創エネ」「蓄エネ」「HEMS」の要素を備えた住まい
- スマートハウスなら、普段どおりの生活をしながら省エネに貢献できる
- 光熱費の節約だけでなく、CO2排出量の削減など社会的なメリットも
【関連記事】
- 理想のマイホームを手に入れるための「物件見学」のチェックポイント
- 注文住宅の「土地選び」のポイント
- 後悔しない! 二世帯住宅を建てるポイント
- 不動産広告の「省エネ性能ラベル」とは?
- 住宅ローンを借りる前に知っておきたい「金利」の話
- お気に入りの部屋をつくるインテリアの選び方
- オーダーメイド住宅で理想の家づくり
- 新築・増改築のときに気を付けたい法律のポイントは?
- 日差しと風、快適な室温のある住み心地のよい家づくり
- 土地を購入する前に知っておきたい法令上の制限について
- 狭小地・変形地に家を建てる
- 「増築」「改築」で住みづらさや不満を解消!
- 万一の災害時に、自分や家族の安全を守る「“災害に強い家”に住みたい!」
- 残された家や土地をスムーズに受け継ぐ「不動産相続の基礎知識」
- 建物の構造が違えば、性能や住み心地も変わる!「木造」と「鉄骨造」、選ぶならどっち?
- 平屋を検討する際に知っておきたいメリット・デメリット!『平屋の家』に住みたい!
- おしゃれで居心地のよい空間をつくる、住まいのカラーコーディネート
- 省エネ住宅なら少ないエネルギー消費で室内環境が快適!
コラムを探す
新着コラム
最終更新日 2024年10月30日
- 購入を検討している物件を現地でチェックする「物件見学」は、家探しの重要なステップの一つ。物件見学時にきちんと確認したいポイントを押さえて、家選びを成功させましょう!
- 災害は、ある日突然やってきます。いざというときにペットと自分を守れるように、飼い主さんができる「日頃の備え」と「災害時の行動」を学んでいきましょう。
- 注文住宅を建てる上で、大切にしたいのが「土地選び」。土地選びで失敗しないための準備や物件情報の見方、現地見学のチェック項目など、知っておきたいポイントをまとめました。
- 共働き家庭が主流となった今、親世帯と子世帯が同じ家に住む「二世帯住宅」を選択する人が増加中。気持ちよく暮らすための間取りから、相続時のアドバイスまで、二世帯住宅を成功に導くポイントを紹介します。
- 新築や賃貸物件の広告に、新たに掲載されるようになった「省エネ性能ラベル」。それぞれの項目の意味と見方を理解して、物件の比較・検討に役立てましょう!
- 侵入犯罪を防ぐ家のポイントや、暮らしの心構えなど、大切な我が家を守るために実践したい防犯対策を紹介します。