賃貸でもできる地震対策!家具転倒防止方法は?

2021年3月10日

賃貸でもできる地震対策!家具転倒防止方法は?

地震が起きたときに怖いことのひとつに、大型家具の転倒があります。これを避けるためには、事前に転倒防止策を講じることが必要です。とはいえ、賃貸住宅に住んでいる場合は壁に穴を開けて固定するわけにもいかないので、どのようにすべきかわからない人もいるのではないでしょうか。そこで、この記事では賃貸住宅における家具の転倒防止対策について説明します。

1.地震対策を万全にしたい!賃貸でも可能?

東京消防庁によると、地震でケガをした人のうち、家具類の転倒・落下・移動が原因となったケースは全体の3~5割も占めています。この数値には地震で死亡した人は含まれていません。ケガによって死亡にいたった人を含めれば、もっと高い割合になったことが推測され、地震における家具の転倒がいかに危険なのか読み取れます。ちなみに、阪神・淡路大震災では、死者の8割が窒息・圧死によるものでした。少しでもリスクを軽減するためには、部屋にある家具の転倒防止策の実施が欠かせません。

とはいえ、一般的な家具の転倒防止策はネジや粘着テープによる固定です。原状回復義務が課される賃貸住宅に住んでいると、壁に傷をつけそうでためらわれるでしょう。ネジはもちろん、粘着テープであっても固定できるほど強力であれば壁紙のはがれなどが発生しかねません。実際、国土交通省による「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」においても「地震などに備えて家具転倒防止対策をするときは、あらかじめ賃貸人に承諾を得る、もしくはネジや釘を使用しない方法を検討する」と記されています。では、賃貸物件での地震対策をどのようにするべきか、釘やネジを使用しない方法について具体的に考えてみましょう。

2.食器棚や冷蔵庫に!つっぱり棒

食器棚や冷蔵庫、本棚などの大型家具・家電が転倒すると非常に危険なため、特に強力に固定することが求められます。そこでおすすめなのが、つっぱり棒(ポール)の使用です。穴を開けてビスで固定する必要がなく、工具なしに取り付けられます。取り付けは難しくなく、つっぱり棒を固定したい家具の天面と天井の間に立て、強く突っ張るように調整するだけです。このとき、つっぱり棒は必ず垂直に立てましょう。わずかでも斜めになっていると強く圧着せず、簡単に緩みます。

また、天井は梁が通っている箇所、家具は鋲が入っているなど強度のある箇所を選んで立てましょう。これは、もろい場所に設置すると、地震で揺れたときに天井や家具の天面を突き破って転倒するおそれがあるからです。そして、家具が前に傾いて浮き上がるのを防ぐため、手前ではなく壁側に設置することも大切なポイントです。

3.家具の下に!ストッパーやマット

家具に高さがあり、天井と近い場合はつっぱり棒が有効です。しかし、背が低く天井まで距離がある棚などは十分に固定できないため使えません。このようなケースでは、家具の下に入れて使うストッパーや耐震マットなどがおすすめです。ストッパーは家具の前面から床との隙間に差し込み、後ろ側にわずかに傾斜をつけることで前への転倒を防止します。耐震マットは、家具の底面に貼ることで固定する粘着性の高いシートです。100円ショップでも購入できるため、手軽に試せるでしょう。ただし、耐震マットのほうは、あまり高さのある家具には向きません。電子レンジやテレビ、パソコンなどの背が低い家電の転倒防止に向いています。

4.テレビの転倒防止にはベルト

大型家具や家電だけでなく、薄型テレビも倒れると危ないため、きちんと対策を講じる必要があります。テレビの固定には、耐震ベルトを使うと良いでしょう。テレビ台に粘着シールなどでベルトを留め、テレビの後ろにある壁掛け用のビス穴に通して固定します。ベルトの長さは調整可能です。緩くならないように適正な長さに締めて調整しましょう。これで、地震で揺れても前に倒れる心配はありません。底面に耐震マットを貼って併用するとより安心です。テレビがあると災害時の情報収集に役立ちます。しっかり対策し、転倒して破損することのないようにしましょう。

5.小さなものも凶器に!食器などはどうする?

地震で怖いのは、大型の家具や家電だけではありません。食器類や花瓶などの割れやすいもの、小さくても重さのあるものは、地震の際に飛んできて凶器となりうるので十分な対策が必要です。落ちた食器や花瓶が割れて足元に散乱すれば、それでケガをするおそれもあるでしょう。そこで、収納している棚に扉があればキャビネットストッパーをつけるのがおすすめです。粘着テープで貼り付けて使うもので、扉がロックできるため震災時に中身が勝手に飛び出すことがありません。ロックは簡単な操作で解除できるため、普段の生活でも不便は感じないでしょう。

棚に専用のすべり止めシートを敷く方法もあります。ある程度の揺れであれば、上に置いたものが落ちたり飛びだしたりするのを防げるでしょう。

6.その他やっておきたい自宅の地震対策

大型家具の固定や小物類の落下防止のほかにも、賃貸住宅でできる地震対策はいろいろあります。まず、基本的に高いところに重いものや割れやすいものを置かないようにしましょう。たとえば、本棚の上段に厚みのある重い書籍を何冊も並べている、食器棚の高い位置に食器を収納しているなどすると、地震で揺れた際に上から降ってきて非常に危険です。「腰の高さより下」を目安に、なるべく低い位置に収納するようにしましょう。室内にインテリア雑貨を飾るときは、陶器やガラス製にしないことも重要なポイントです。割れものや硬いものを避け、紙製や布製など柔らかく軽いものにしましょう。

家具の配置も十分に検討することが大切です。たとえば、背の高い家具を入口の近くに配置すると、地震で転倒して通路をふさぎ、外に出られなくなるおそれがあります。避難経路をふさがないように考えて配置することが大切です。ベッドの横に背の高いたんすなど背が高くて重いものを置くのも良くありません。就寝中に地震が発生すると、倒れて下敷きになるおそれもあります。窓ガラスも地震で割れて飛散すると危険です。飛散防止の窓用フィルムを貼っておくのがおすすめです。

7.小さな備えが命を守る

些細な工夫やひと手間が、地震の際に命を守ることにつながります。たとえば、転倒防止のポールを立てていれば倒れた家具の下敷きにならずに済むでしょう。地震対策の必要性は理解しながらも、賃貸だからできないとあきらめているかもしれません。しかし、ネジや釘を使わなくても家具を固定したり扉が不用意に開かないようにしたりすることは可能です。地震はいつやってくるかわかりません。思い立ったらすぐに対策しましょう。

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最終更新日 2024年10月30日